家計診断Pro|判定基準(P/L・B/S 基準値と見方)

家計診断Proでは、P/L(収支)と B/S(資産・負債) の 2 側面から家計をスコアリングします。
本ページでは、各項目の意味・基準値の根拠、A/B/C 評価の基準をわかりやすくまとめています。

最新版の基準は 2025年の見直し版(財務健全性モデル) を反映しています。


判定の考え方(基本コンセプト)

家計診断Proの基準値は、以下の考え方に基づいています。

  • 収入に対して許容できる支出割合(フロー評価)
  • 資産・負債のバランス(ストック評価)
  • 突然の支出に耐えられる安全余力
  • 将来の教育・老後資金も考慮した持続可能性

A=健全(理想〜良好)
B=改善余地あり
C=注意(要見直し)


項目ごとの説明テーブル(最新版)

以下は「項目の意味」「A評価の基準」「基準の根拠」をまとめた説明テーブル(プロ向け)です。

■ P/L(収入と支出)

項目A評価の基準内容基準値の正当性・根拠
収入(税抜手取り・年額)現役:年齢×10 万円以上
退職後:200万円以上
税・社保控除後の手取り年収。副収入や給与天引きでいつでも引き出せる積立も含む。年齢×10 万円は「平均的な昇給カーブ+生活防衛ライン」を統合した経験則。退職後200 万円は生活保全の下限。
住居費(住宅ローン含む)収入の ≤ 25%家賃・住宅ローン・管理費・駐車場など住宅関連費。金融広報中央委員会などの家計調査を基準にした標準的な可処分比率。
借入返済(住宅ローン除く)収入の ≤ 20%カードローン・フリーローン・自動車ローンなどの年間返済額。返済負担率(Debt Service Ratio)の国際目安 20% 以下を採用。
教育費幼稚園〜大学院までの学費・教材費など。RoboFP が別途ガイド。ライフイベントに依存するため基準値は固定しない。
保険料(生命・医療・損保等)収入の ≤ 5%生命保険・医療保険・火災保険などの年間保険料。保険は「大きなリスクの移転」のみを目的とするのが合理的。過剰保障の防止。
その他生活費収入の ≤ 50%食費・通信費・光熱費・交際費など。住居費・教育費・保険料以外。家計調査を基にした支出構造の中央値。
支出合計(自動)収入の ≤ 80%年間支出の総額。貯蓄率 20% を確保するための妥当ライン。
収支(貯蓄率)≥ 20%年間収入に対する黒字幅。老後資金・教育資金の両立には 20% が理想値。

■ B/S(資産・負債)

項目A評価の基準内容基準値の正当性・根拠
現金(普通預金など)収入の ≥ 40%当座資金・普通預金・流動性の高い安全資産。生活費 3〜6ヶ月分+急な出費を加えた安全余力。
有価証券投資信託・株式・債券など時価評価。投資方針に依存するため基準値は固定しない。
流動資産 合計(自動)収入の ≥ 80%現金+有価証券の合計。万一の収入途絶にも備えられる流動性水準。
車他動産自動車などの動産資産。消耗資産のため基準値なし。
不動産主に自宅や賃貸物件など。価値と返済負担のバランスを B/S 全体で評価。
固定資産 合計(自動)車・不動産などの総額。負債との比率で評価するため単独基準なし。
短期負債(リボ・カードローン等)0(無借金)高金利の短期負債。金利構造上、資産形成の阻害要因となる。
住宅ローン(残高)収入 × 4 以下手取り年収ベースの返済可能額。金融機関審査基準+返済負担率モデル。
無担保長期負債(奨学金・自動車ローン等)収入 × 0.2 以下無担保の長期ローン。長期返済が家計を圧迫しない上限値。
負債 合計(自動)総資産の ≤ 50%長短負債の総額。財務健全性(Equity Ratio 50%以上)を確保。
自己資本(純資産)0 以上(債務超過でない)
前年以上なら A
流動資産+固定資産 − 総負債。実質的な健全性指標。前年割れは改善余地。

📘 家計診断Pro|A/B/C 基準値テーブル(最新版)

家計診断Proで使用している A/B/C の閾値一覧です。

P/L(損益)の基準値

項目A(健全)B(注意)C(改善必要)
収入(税抜手取り・年額)現:年齢×10以上退:200万円以上現:年齢×8以上退:150万円以上上記未満
住居費(住宅ローン含む)収入の25%以内25〜30%30%以上
借入返済(住宅ローン除く)収入の7%以内7〜20%20%以上
教育費—(個別判断)
保険料(生命・医療・損保)収入の5%以内5〜7%7%以上
その他生活費収入の50%以内50〜60%60%以上
支出合計(自動)収入の80%以内80〜90%90%以上
収支(自動)貯蓄率20%以上10〜20%10%未満

B/S(貸借)の基準値

項目A(健全)B(注意)C(改善必要)
現金(普通預金など)収入の40%以上30〜40%30%未満
有価証券—(評価対象外)
流動資産 合計(自動)収入の80%以上60〜80%60%未満
車他動産
不動産
固定資産 合計(自動)
短期負債(リボ・カードローン等)0(無借金)少額あり多額の短期負債・リボ残高あり
住宅ローン(残高)収入×4以内×4〜5×5以上
無担保長期負債(奨学金・教育ローン・自動車ローン等)収入の20%以内20〜30%30%以上
負債 合計(自動)総資産の50%以内50〜80%80%以上
自己資本(自動)プラス(≥0)±0前後マイナス(債務超過)

家計診断Pro の総合評価ロジック

総合スコアは以下の基準で算出されます:

  • A判定の数(強み)
  • C判定の数(弱点)
  • 資産と負債のバランス
  • 貯蓄率の水準
  • 長期負債と収入の妥当性

総合コメントでは、

  • 転ばぬ先の「弱点(C)」
  • 伸ばしたい「改善余地(B)」
  • すでに良好な「強み(A)」

という 3軸でフィードバックします。

※ 評価は「絶対的な良し悪し」ではなく、改善の方向性を示すための指標です。


注意点・免責

  • 本基準は一般家庭向けの「標準的モデル」であり、全世帯に完全一致するわけではありません。
  • 家族構成・地域差・職業特性・ライフプランによって適正値は上下します。
  • 投資・保険・負債判断は個別相談で最終調整が必要です。

更新履歴(2025年版)

2025/11 判定基準アップデート

  • P/L「その他生活費」基準値を新設
  • B/S「無担保長期負債」「負債合計」基準値を追加
  • 項目定義と説明テーブルを全面改訂
  • PDF 5ページ目の見方・基準表もアップデート
  • UI 改善(ツールチップ追加・表示名称の統一)