シリーズ案内
産業FP × 家計の健康診断(全3回予定)
第1回
なぜ「産業FP」か――家計が崩れると、組織が崩れる
産業FPの意義/背景と課題
第2回
職場で使える家計診断:設計思想と仕様
簡略化と妥協しなかった点/導入要件
次回予告
PoCの進め方とUX設計(社内展開の実務)
近日公開:評価指標・運用ワークフロー・FAQ導線
「給与を上げれば、人は辞めない」
そう信じられていた時代は、もう終わりました。
最近、退職理由アンケートを見ると、表向きの理由は「キャリア」「人間関係」などと書かれています。
しかし深く聞いていくと、多くの場合、根っこには次の不安が潜んでいます。
“将来が不安” という言葉に、すべてが収束する。
教育費、住宅ローン、転職、副業、親の介護、老後の生活。
お金は、人生のほぼすべてに影響する「背景ノイズ」です。
そして、このノイズが大きくなったとき、仕事は崩れます。
企業は「身体の健康」には投資している。しかし──
| 領域 | 担当 | 現状 |
|---|---|---|
| 身体の健康 | 産業医 / 人間ドック | ✅ 仕組みがある |
| 心の健康 | 産業保健師 / EAP | △ 一部対応 |
| 家計の健康 | 担当不在 | ❌ 完全な「空白地帯」 |
会社は給与を支払います。
しかし、そのお金がどう流れ、どこで詰まっているのかは誰も見ていません。
でも現実には、
- 家計不安 → 睡眠低下 / 回復力低下
- 教育費プレッシャー → 過剰労働 / 副業疲労
- カードローン → メンタル不調 → 最悪、不正・離職
収入が高いから安心? むしろ逆です。
最近の実例が示す「家計と行動の連動」
近年の報道を振り返ると、
- 銀行員による貸金庫からの窃取
- 証券会社社員の顧客資産の着服
- TV局社員が借金を抱えてオンラインカジノに没入
- 元プロアスリートが引退後に破産
共通点は、「家計の歪みの見える化が遅れた」ことです。
多収入 = 安定 ではありません。
家計は “収入の大きさ” ではなく、“支出構造と比率”で崩れます。
だから必要なのは「家計版・健康診断」
身体が悪くなる前に健康診断で気づくように、
家計も崩れる前にスキャン(可視化)できれば防げます。
- 現時点の支出バランスは適正か?
- 教育費ピーク時に赤字化しないか?
- 住宅ローンが家計を圧迫していないか?
- 老後に向けた資産形成ペースは適正か?
これを 1枚で可視化できるツール が必要です。
その役割を担う存在 —— 「産業FP」
- 産業医:社員の身体の健康を守る人
- 産業FP:社員の家計の健康を守る人
家庭と仕事は切り離せません。
片方が崩れれば、もう片方も崩れます。
次回予告
次回は、家計の状態をスキャンするための
「家計健康診断アプリ」をどのように設計したのかを紹介します。
- なぜ一般のFP相談では不十分なのか
- どこを簡略化し、どこに妥協しなかったのか
- 「職場で使える家計診断」をどう実現したか
ここからが、物語の本番です。
📩 企業担当者 / FPの方へ:
この取り組みに興味があれば、ぜひ一度ご連絡ください。

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